読書ノート / 近現代史
  日鮮同祖論により日韓併合を賛美
 2016/2/3
 韓国がタブーにする日韓併合の真実
編・著者  崔基鎬(チェ・キホ)/著
出版社  ビジネス社
出版年月  2014/1/1
ページ数  245
判型  新書
税別定価  1100円
 
 1923年生まれの在日韓国人(?)による日本賛美書です。本書は、2003年9月に出版された「日韓併合の真実」の新書版です。
 著者は、次のように、「日韓併合が今日の韓国の繁栄をもたらした」、「日韓は統一すべきである」と主張しています(228、243ページ)。
 李朝による五百十八年にわたった虐政と苛斂誄求に、日韓併合によって、ようやく終止符が打たれた。
 今日、韓国では国民に李氏朝鮮があたかも独立した国であって、日韓併合によって独立が奪われたように教えているが、これは史実を大きく誤っている。
 李朝は創建された時から、人類史上でもっともおぞましい、腐敗しきった暴力集団であった。李氏朝鮮はとうてい、国の体をなしていなかった。
 今日の韓国の繁栄は、一九〇五年に統監府が開設されてから、日韓併合が終わるまでの四十年間がもたらした、勤勉と和を強調した精神教育のうえに築かれたものである。李朝があった間、両班たちは徹底して勤勉を賤しみ、庶民を牛馬のように酷使して、その血と汗を搾取することしか考えなかった。
 ……
 日韓併合時代が終わってから、五十八年が経過した。私の希望は南北朝鮮の統一もさることながら、韓日統一が両国にとってもっと重要であると信じている。もちろん、かつての日韓併合のような統一は、不可能であろう。ヨーロッパ共同体(EU)のような方式で、緊密な関係を構築することによって、両国の国威を宣揚しうると、確信している。
 一千年前の三国時代の韓国と日本とは、同一民族、同一原語族であった。統一の優先的対象は、南北朝鮮よりも、韓日であるべきである。
 日韓併合に対する歴史的評価が、植民地的統治による一部の弊害を論じることだけに偏向し、日韓併合が韓国の近代化の原動力となった史実に対して目をつむって、国定歴史教科書によって、日本がなくても李朝は近代化されただろうという虚偽の事実を教育している。純真な児童たちに誤った反日、嫌日感情を植えつけている現実を、私は強く憂いている。
 著者は、次のように(47ページ)、かなりユニークな歴史観、文明観を持っています。排他的、利己的な李氏朝鮮に対し、勤勉で公共心が高い日本を対比しています。著者の歴史認識は、戦前の日鮮同祖論を思い起こさせます。

 閔妃殺害については、次のように述べています(181〜182ページ)。日本は、李氏朝鮮を近代国家につくり変える改革を進るため、閔妃派を抑えようとしただけであり、閔妃殺害は、もっぱら大院君と訓練隊が主導し、日本人の浪人もそれに協力したことを示唆しています。
 閔妃派は三国干渉によって、日本の力が弱まると、強国とみたロシアを後ろ盾として、ウエーベル・ロシア公使と親密な関係を深めて、咸鏡道の港を貸与する密約を結んだ。これは宗主国を清からロシアに代えようと試みたものだったが、ロシアに国を売ることによって、国王の専制的な権力を守ろうとしたのだった。
 このあいだ、日本の三浦梧楼公使は無視された。日本は金弘集内閣とともに、李氏朝鮮を近代国家につくり変える改革を進めようとしていた。高宗と閔妃は、何とかして改革を阻止しようとした。
 高宗はそのかたわら、国にも、民族にも、時局にも、関心がなかったから、いつものように遊楽に耽っていた。このころ高宗は女官である厳尚宮を、溺愛していた。
 日本政府は高宗と閔妃がロシアに接近し、ロシアによって取り込まれてゆくような事態を、とうてい傍観していられなかった。そこで、再び大院君を使って、閔妃派を抑えることを図った。
 大院君も閔妃に対して憤っていたから、三浦公使と大院君が提携するようになった。大院君と閔妃の間柄は、怨恨二十年に及んでいた。
 高宗三十二(一八九五)年十月七日に、開化改革派の軍隊であった訓練隊に対して、解散命令が発せられた。このために、事態が急迫した。訓練隊は政府軍のなかに新設された連隊で、日本の将校たちによって、訓練されていた。
 翌八日の早暁に、解散させられた訓練隊と将兵と、日本人の浪人が、王宮である景福宮に押し入った。閔妃は、国庫を湯水のように浪費し、政治を混乱させた国賊であった。そして、閔妃を玉壷楼で殺害したうえで、その死体を裏山の松林の中で焼いた。
 乙未事変である。入院君は自ら輿にのって、王宮に侵入して、襲撃に加わった。知識層の間では王宮に巣くう妖婦であった閔妃が殺されたことに、歓声が上がった。閔妃は朝鮮の”ミニ西太后”だった。