読書ノート / 古代史
2013/4/9
 ヤマト王権 (岩波新書 新赤版)  
編・著者  吉村武彦/著
出版社  岩波書店
出版年月  2010年11月19日
ページ数  196 
判型  17.2 x 10.6 x 1 cm
税込定価  861円 
 この本の構成は次のようになっています(岩波新書編集部新刊の紹介より)。
■目次 
 はじめに―奈良人からみた「いにしえ」
  第一章 東アジアの倭・倭人・倭国
  1 「楽浪海中倭人あり」―中国からの視線
  2 「魏志倭人伝」と邪馬台国
  3 邪馬台国とはどんな「国」だったか
  第二章 ヤマト王権の成立
  1 ヤマト王権のはじまり
  2 初期のヤマト王権
  3 「謎の四世紀」
  第三章 東夷の小帝国と倭の五王
  1 朝鮮半島へのまなざし
  2 宋の建国と倭の五王
  3 鉄剣銘文が語るワカタケル
  4 「記・紀」の王宮・王墓からみた五世紀
  5 朝鮮半島から移住してきた技術者集団
  第四章 継体天皇の即位と伽耶
  1 新王統の誕生
  2 伽耶の盛衰と百済
  3 継体没後の新天皇
  4 地方の反乱と国造制
  第五章 仏教の伝来と蘇我氏
  1 欽明朝の成立と蘇我氏
  2 大伴氏と物部氏
  3 仏教の伝来と受容
  4 崇峻天皇の暗殺
 おわりに―「飛鳥」以前、日本列島の文明化の時代

 この本は、岩波新書新赤版の「シリーズ日本古代史全6巻」の2巻目で、紀元前後の小国分立からヤマト王権に至る約600年を扱っています。
 ヤマト王権はかつて大和朝廷と呼ばれていましたが、この時代には天皇という称号はなく中央集権体制も確立していなかったと考えられることから、「朝廷」と呼ぶのは不適切であり、また、支配領域も大和地方を超えて広がっているため、教科書でも「ヤマト王権」「ヤマト政権」という呼び方が一般的となっていますが、産経新聞の読者には不評なようです(「ヤマト政権」は天皇否定の左翼歴史用語)。
 目次にもあるように、本書は、漢書地理志、後漢書東夷伝、魏志倭人伝に始まり、「倭の五王」、渡来人の移住、継体新王朝、仏教伝来など、教科書風に網羅した通史となっています。
 したがって、手堅くまとめられているが、一般受けする派手さはないともいえます。