さらに、大統領選の得票結果や各種経済統計など具体的データも豊富で、現在の韓国の政治・経済・外交を考えるための重要な資料を提供してくれます。本書は、まさに韓国現代史の基本書といえるでしょう。 このような内容から、この本は一般向けの教養書というよりも、大学の学部向けの教科書という方がふさわしいかもしれません。著者も次のように述べています(1ページ)。
その後の南北分裂から朝鮮戦争勃発まで政治史を中心に叙述が続きます。また、朝鮮戦争論争や北朝鮮情勢についても、補説として簡潔にまとめられていて、読みやすく工夫がなされています。 続いて、李承晩政権の政治体制、経済・外交政策の叙述が続き、以下、政治・経済史の流れを中心に、国際情勢の変遷が韓国の国内情勢に与えた影響などを踏まえて、金正恩後継体制成立後の2012年2月までの韓国現代史が語られて行きます。 具体的データも豊富なのが本書の特長ですが、たとえば次のような2002年大統領選の得票率(157ページ)は、民主党(現民主統合党、野党)とハンナラ党(現セヌリ党、与党)が、それぞれ全羅道と慶尚道を地盤とする地域政党としての色合いを残していることを物語っています。 また、1994年ジュネーブ米朝枠組み合意と2005年9・19共同宣言を比較した次の表(145ページ)は、北朝鮮の核問題をめぐる両者の変遷が簡潔にまとめられています。 まさに、現代史と現在の国際政治との接点を示しているといえるでしょう。 |