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 知的財産法まとめ

●知的財産法の黎明
1869年 「出版条例」制定:出版物の取締りと出版社の保護の規定が同居
1871年 最初の特許法である「専売略規則」公布、その後執行停止となる
1873年 福沢諭吉が「西洋事情」の中で、西洋には「発明の免許(パテント)」と「蔵版の免許(コピライト)」の制度があると紹介
1884年 「商標条例」発布
1887年 「版権条例」で著作権法制の基礎ができる
1885年 「専売特許条例」制定
2002年 知的財産基本法が成立:知的財産についての総則的規定
「知的」とは:原語の「intellectual」は、人間が考え出した、創造的なものといった幅広い概念、必ずしも高尚なものであることは要求されない。基本法では「人間の創造的活動」と定義付けている。

●知的財産の種類
権利 法律 登録 期間 担当官庁
テクノロジー:新規の工業・農業技術的アイデアを保護
「考案」は一般的アイデアを保護     
 発明 特許権 特許法 審査・登録 20年 特許庁
 考案 実用新案権 実用新案法 登録 10年 特許庁
 植物新品種 育成者権 種苗法 審査・登録 25年・30年 農水省
ブランド:商品や企業に対する社会的信用を示す名称(商標・商号)を保護
 商標 商標権 商標法 審査・登録 3年以上不使用で取消も 特許庁
 商号 商号権 商法・会社法 登記 3年以上不使用で取消も 法務省
 商標・商号 商標・商号権 不正競争防止法 不要
デザイン:外形的な独創性・新規性を保護
  「回路配置」は技術的デザインを保護     
 意匠 意匠権 意匠法 審査・登録 20年 特許庁
 回路配置 回路配置権 半導体チップ保護法 登録 10年 ソフトウェア登録センター
エンタテインメント:表現物の内容を幅広く保護     
 著作物 著作権 著作権法 無方式 (死後)50年・70年

●著作権と特許権の比較
著作権 特許権
目的 文化の発展 産業の発達
対象 表現 アイデア
権利の内容 相対的な独占権 絶対的な独占権
人格権 あり なし
著作者・発明者 法人も(職務著作) 常に自然人
権利者 原則として著作者 多くは法人(職務発明:社
内ルールで法人に出願権)
要件 創作性(緩やか) 新規性、進歩性、産業上の利用可能性(厳格)
方式 無方式主義 審査登録主義
権利制限 「私的使用」など幅広く 「試験研究のための利用」など限定的に
公開 不要 必要
期間 (死後)50年・70年 出願の日から20年

●参考文献等
 知的財産法入門 (岩波新書) 小泉 直樹 (著)
 特許庁