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 5Gホームルーターは使える?
 2022/9/9
 ホームルーターによるデータ通信サービスの概要をイラストで示すと次のようになります(TIME&SPACE by KDDI)。基地局までは光ファイバーで接続し、その先は無線で接続するのは携帯電話通信と同じです。しかし、携帯電話通信では、携帯電話端末に直接接続するのに対し、ホームルーターによるデータ通信では、ホームルーターを介して各種端末と無線で接続します。つまり、ホームルーターがミニ基地局のような役割を果たします。ホームルーターは、登録した住所以外での使用は禁止されていますが、登録住所の変更はできます。
 なお、WiMAX+5Gは 、モバイルルーターと同様に移動先でも使えるようです(WiMAX+5Gのホームルーターは持ち運びできる?)。  

 現在のところ、ホームルーターによるデータ通信を提供しているのは、携帯3社(NTTドコモ、SoftBank、au)とUQコミュニケーションズ(WiMAX)です。
 UQコミュニケーションズのWiMAXは、データのみの無線通信サービスです。持ち運びできる充電式の超ミニ基地局としてのモバイルルーター(ポケット型WiFi・モバイルWiFi)によるデータ通信サービスを提供してきました。一方、携帯各社もポケット型WiFiサービスを提供しています。
 これらのデータ通信には、4G(第4世代移動通信システム)のLTE(携帯各社)とWiMAX 2+(ワイマックス・ツープラス)が使われています。WiMAX 2+は電波が届きづらいという弱点があるので、同じKDDIグループ企業のau 4G LTEを利用するオプションも提供しています(Wi-Fiを快適に利用したいなら理解すべきWiMAX2+とLTEの違い | DTI)。
  4G と光回線の平均速度を比較すると次のようになります(WiMAXの速度に関する口コミを徹底調査!速度制限の対処法も紹介 - わたしのネット)。光回線の方が圧倒的に速いです。

 ただし、古いマンションの場合、各戸まで電話線を経由することもあるので(VDSL配線方式)、光回線でも最速100Mbpsしか出ません(マンションインターネット環境構築について)。それでも、4G のポケット型WiFiより速いです。なお、NTTの光回線の提供エリアは東西NTTのサイトで確認できます(住所選択|提供エリアの確認|NTT東日本フレッツ公式フレッツ光公式|NTT西日本|サービス提供エリア確認)。
 しかし、2020年春から5Gのサービスが始まり、状況は変わりました(今更聞けない「5G」とは?第5世代移動通信システムをわかりやすく簡単に説明)。無線通信でも光回線に匹敵する速さが出せるようになったのです。
 次のように、ホームルーターでもケーブルテレビ回線と同じ程度の速度が出ています(みんなのネット回線速度(みんそく))。VDSL配線方式の光回線を上回っています。Pingというのは、応答速度を示す数値で、小さいほど反応が良くなります。オンラインゲームでは大きな意味を持ちます。「0ms-60ms以下なら適当、100ms以上だと、かなりその遅さが目立つようになる」ということです(「通信速度」以外にも大切なping値(ピン値/ピング値)とは?オンラインゲームをするなら重要視すべきping値)。

 5Gの中継局は、大都市部から整備が進んでいます。したがって、東京都や大阪府、愛知県ではホームルーターは上記の数値より速くなっています。たとえば、愛知県ではホームルーターの平均速度は次のようになっています(愛知県のホームルーターの速度測定結果)。

 一方、愛知県の光回線の平均速度は次のようになっています(愛知県の光回線の速度測定結果(実測値))。Ping、下り、上り、すべてにおいて、光回線はホームルーターを大幅に上回っています。直接、光ファイバーを引き込めるのであれば、速度に関しては有線光回線の方が有利だといえます。ただし、Pingに関しては60ms以下に収まっていますし、高画質動画をアップロードしないのであれば、上りスピードはさほどの速さは必要ありません。また、普通の使い方であれば、200Mbps以上あれば十分です。

 我が家では、フレッツ光ネクストを契約していますが、USB接続のLAN子機を使ってPCを無線接続すると、次のように恐ろしく遅いスピードしか出ていません(みんなのネット回線速度で測定)。
 それでも、NHKオンデマンドのHD動画やTVerの高画質動画を支障なく見ることができますし、ネット閲覧やサイトのアップロードにも何ら問題はありません。

 一方、有線LAN接続では、次のように「超速い」という結果となりました。ただし、超高速になったという体感はありません。

 要するに、普通の使い方をするのであれば、VDSL配線方式の光回線接続や4G無線接続で十分でないかと思われます。
 とはいうものの、料金がさほど変わらなければ速いに越したことはありません。その意味では、5Gのホームルーターは、光回線に次ぐ選択肢といえそうです。
 なお、光回線の有線接続でも、休日の夜は次のように速度が極端に遅くなりました。同じ建物にヘビーユーザーがいるのかもしれません。

 5Gエリアは、2023年度末を目標に、大都市部から全国へ順次拡大しています。各社のサイトでは、現在の状況を確認できます( サービスエリアマップ | 通信・エリア | NTTドコモSoftBank Air 住所別下り最大通信速度情報WiMAX +5G(ワイマックス)サービスエリアエリアマップ | エリア:スマートフォン | au)。