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 ウェブぺージと著作権(2)記事やデータの転載は可能か
2020/7/10改定 
●ウェブぺージへの転載は「私的使用」か
 「gooヘルスケア」の記事を無断でブログに掲載して逮捕されるという事件が2009年にありました(ブログに記事を無断で転載、男性を逮捕)。なお、「gooヘルスケア」は、2019年3月28日をもって、サービスを終了しています(goo ヘルスケア サービス終了のお知らせ)。
 この事例では、削除要請には全く回答せず掲載を続けた、ということと、記事の転載は、健康食品の売り上げを上げるためだったと供述している、という事情はあったようです。
 そもそも、趣味で開いているサイトに、他のサイトの記事やデータを転載したとしても、私的使用のための複製として許されるのではないかとも思われます。この点について、 デジタル・ネットワーク社会と著作権では、次のように述べています。
私的使用のための複製は自由であるという趣旨の規定がありますので(著作権法第30条)、みずからの趣味としてホームページなどを作成する場合には複製権の処理が必要ないように見受けますが、ホームページやブログは不特定多数の人からのアクセスが可能であり、またそれを予期して作成するものであるところから、「私的使用」の範疇を超えるものであって、権利者から複製の許諾をとらなければならないものと考えます。 
 ただし、次のようにも述べています。つまり、引用と認められるなら、権利者の許諾は不要ということです。
他人の著作物の一部分を引用することは、それが「公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるもの」である限り、権利者の許諾を必要としません(著作権法第32条1項)。 

●国・地方公共団体の報告書などは転載自由
 著作権法第32条2項は、「国若しくは地方公共団体の機関・独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。」と規定しています。
 公共機関の資料・報告書などの転載は自由ということですが、ウェブサイトやブログが、はたして「新聞紙、雑誌その他の刊行物」といえるのか、気になるところです。
 この点について、デジタル・ネットワーク社会と著作権では、次のように述べています。
本来、刊行物とは出版物を指す言葉として使われておりますので、厳密にいえばこれに該当するとみることはできないということになります。しかし、国・地方公共団体等が作成した資料はその内容を国民一般に広く知らせることを目的として作成されたものですから、ホームページに転載して利用されることは、むしろ作成の目的に合致するものと解されます。このように見ていきますと、これらの転載には許諾を必要としないと考えてよいと思われます。
 さらに、次のように全く自由に利用できる著作物もあります。
権利の目的とならない(利用が自由な)著作物  
13条1号 憲法その他の法令 
 2号 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が発する告示、訓令、通達その他 
 3号 裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの 
 4号 前三号に掲げるものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの