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 なぜ旭日旗が問題となるのか   
2017/5/14
執行猶予付き無観客試合! 
 2017年4月25日に韓国で行われた、サッカーのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)1次リーグの水原(韓国)戦で
J1
J1川崎サポーター2人が旭日旗を掲げ、反発した水原サポーターが川崎側の出口に押し寄せる騒動になった
4月25日にアウェーで行われたACL1次リーグの水原(韓国)戦で川崎サポーター2人が旭日旗を掲げ、反発した水原サポーターが川崎側の出口に押し寄せる騒動になった
4月25日にアウェーで行われたACL1次リーグの水原(韓国)戦で川崎サポーター2人が旭日旗を掲げ、反発した水原サポーターが川崎側の出口に押し寄せる騒動になった
問題で、アジア・サッカー連盟(AFC)は5月4日、
韓国で行われたアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の試合でJ1川崎のサポーターが旭日旗を掲げた問題で、アジア・サッカー連盟(AFC)は4日、川崎に対して1年間の執行猶予付きでAFC主催のホームゲーム1試合を無観客とし、罰金1万5000ドル(約170万円)を科す
韓国で行われたアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の試合でJ1川崎のサポーターが旭日旗を掲げた問題で、アジア・サッカー連盟(AFC)は4日、川崎に対して1年間の執行猶予付きでAFC主催のホームゲーム1試合を無観客とし、罰金1万5000ドル(約170万円)を科す
川崎に対して1年間の執行猶予付きでAFC主催のホームゲーム1試合を無観客とし、罰金1万5000ドル(約170万円)を科すと発表しました(<AFC>旭日旗問題で川崎、1試合無観客 執行猶予付き 毎日新聞 5/4(木) 22:37配信)。 
 旭日旗は、次の写真(川崎フロンターレのサポーター、韓国・水原戦で旭日旗を掲げ一触即発 AFC「倫理違反の疑い」)のようなものですが、
AFCは「国家の起源と政治的な意見に関連する差別的な象徴」として、差別を禁じる規律規定などに抵触すると判断した
AFCは「国家の起源と政治的な意見に関連する差別的な象徴」として、差別を禁じる規律規定などに抵触すると判断したということです。

 旭日旗が、なぜ「差別的な象徴」となるのか、そして、サポーターではなく、なぜJ1川崎に罰金が科せられるのかというのがよく分かりません。

「現在も広く使用されている」
 この問題について、菅官房長官は5月8日午前の記者会見で、「旭日旗は、大漁旗や、出産・節句の祝い旗など、日本国内で現在も広く使用されている」と述べ、旭日旗が政治的立場を象徴するとは限らないとの考えを示しました(旭日旗、政治的立場の象徴を認めず…菅官房長官 2017年05月08日読売新聞)。 
 読売新聞は社説で、旭日旗は「旧日本軍が使用し、現在では、陸上自衛隊と海上自衛隊が、それぞれ自衛隊旗と自衛艦旗として用いている」が「朝日新聞の社旗には、旭日がデザインされている。商品のマークなどに採用する企業もある」とし、「もはや戦前の軍国主義とは関係がない」「今の日本社会に根付いている」と主張しています( J1川崎処分 旭日旗に差別的な意図はない 2017年05月13日 読売新聞社説)。
 産経新聞も社説で、「旭日旗に差別やヘイト(憎悪)の意味合いはない。日本サッカー協会やJリーグがそう反論しているのは当然である」「サポーターの行動が最初から騒動を起こして政治問題化させることが目的であったなら、旗の正当性とは別に論外であろうが、今回はそうした様子もない」「朝日新聞社の社旗も旭日を意匠としている」と主張しています(旭日旗/理不尽な処分の撤回求む2017.5.14 産経新聞主張)
 「大漁旗」をGoogleで検索すると次のような画像が表示されました。旭日のデザインが多く用いられているようです。

 また、 誕生祝い・初節句の大漁旗写真│水野染工場でも、旭日デザインの出産・節句の祝い旗が紹介されています。

 一方、「在特 デモ」をGoogleで検索すると次のような画像が表示されました。日章旗と旭日旗が並んで掲げられ、今回問題となっているサッカー場の情景が髣髴とされます。

 確かに、大漁旗や、出産・節句の祝い旗などには旭日デザイン(現在問題となっている意味での軍旗としての旭日旗ではない)が使われています。しかし、旭日旗は旧日本軍の軍旗(現在の自衛隊でも)でしたから、韓国人の中にはそれを朝鮮半島の軍事支配の象徴と捉える人がいても必ずしも不自然とはいえません。また、前述のように、在日特権を許さない市民の会(在特)が在日韓国・朝鮮人を攻撃するデモで多数の旭日旗を掲げていますし、旭日旗と並んでハーケンクロイツ旗を掲げる(少数派の極めて特異な)団体もありました。
 とするならば、韓国のスポーツ会場で旭日旗(軍旗)を掲げることは、そのような政治的主張をする意志があると受け取られかねない可能性があることは予想できたように思われます。


朝日新聞社旗は旭日旗? 
 ところで、読売新や産経新聞の社説が指摘するように、朝日新聞社旗と旭日旗は、次の写真(国旗についての物語 朝日新聞の社旗と旭日旗)が示すように良く似ています。  

 この点について朝日新聞社自身のコメントは見つかりませんでしたが、朝日新聞記者がツイッターで個人的な見解を述べ、朝日新聞の社旗が旭日旗ではないかという指摘に対しての見解 - 夕日新聞がそれを紹介しています。
 それによると、「朝日新聞社が軍旗をまねたという説は事実でありません」「朝日新聞社旗の歴史は、朝日が大阪で創刊した1879年(明治12年)にさかのぼります」「会社側で考え出したデザイン」ということです。
 一方、旭日旗の方は、「明治3年の4月に駒場野操練場で行われた明治天皇の閲兵で、陸軍は初めて統一した旗を使用した」(日本の旗/軍旗-自衛隊旗)のが始まりだそうですから、こちらの方が10年ほど先輩になります。
 とするならば、朝日新聞社旗をデザインするとき、(当時は天皇および国家の権威の象徴だった)旭日旗を「参考にした」可能性は全くは否定できないようにも思われます。
 いずれにしても、朝日新聞社の戦争責任を明らかにして、それに対する反省を示すという観点からは、社旗のデザインを変更するという選択肢はあったと思います。

ドイツ軍の鉄十字も禁止?! 
 知恵蔵miniでは、旭日旗について、「五輪やサッカーW杯など国際的なスポーツ大会での同旗の使用について、国際オリンピック委員会(IOC)や国際サッカー連盟(FIFA)は政治的表現禁止規定に背くものではないとしている」と述べています。
 一方、「各種FIFA管轄のサッカー組織にあるルールから判断すれば旭日旗は明らかにNGである」という意見もあります( 旭日旗はなぜサッカースタジアムで禁止なのか? 関係ない日本側の主張、知るべき国際ルール フットボールチャンネル 4/27(木) 11:07配信)。
 その理由は、FIFAの「スタジアム安全警備規定」にある「試合主催者は、スタジアムやその近辺で、サポーターが挑発や攻撃的行為(攻撃的、挑発的な内容を含んだ横断幕や旗なども含まれる)を行わないようにしなければならない」という条項に反するからだということです。
 そして、「Jリーグのクラブチームや日本代表では、中国や韓国といった東アジアの国との国際試合に関しては比較的厳格な措置をとっていて」「荷物検査や試合開始前の段階で、旭日旗を没収されているケースもある」ということです。 
 また、「旭日旗は自衛隊も使っているもので問題はないはずだという意見」については、「内田篤人選手が所属するシャルケ04のスタジアムの禁止意匠規定」は「現在のドイツ軍が使用している軍事標章である鉄十字も禁止されている」とのことで、「欧州サッカージャーナリストもドイツのスタジアムで鉄十字がスタジアムに出たら大問題になるだろうと筆者の取材に答えている」そうです。
 そもそも、スポーツは国威発揚の道具ではないのだから、サッカー場に軍旗を掲げること自体に違和感を覚えます。しかし、NHK記者が「五輪開催のメリットは国威発揚にある」と発言している(五輪メリットは「国威発揚」 NHKが憲章と真逆の仰天解説 )ように、軍旗に不自然さを感じない方が普通なのでしょうか。