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 2020年の都知事選、60万票の重み
2020/7/6
 2020年の東京都知事選は、現職の小池百合子氏の圧勝に終わりましたが、山本太郎氏と小野泰輔氏は次の国政選挙を視野に入れれば、ある程度の実績は残したものと思われます。また、桜井誠氏の躍進も少し気になります。
 自民党は自主投票としつつ、二階俊博幹事長が小池氏支援、公明党は実質的に小池氏支援しました。立憲、共産、社民の3党は宇都宮氏を支援、山本氏はれいわ公認、日本維新の会は小野氏を推薦しました。
 2019年の参院選東京選挙区では、立憲と共産は合わせて190万票近くを得ていましたから、今回の知事選ではその半分も得票できませんでした。山本氏は2013年参院選東京選挙区で得た66万票に近い得票で、まずまずの健闘といっていいでしょう。日本維新の会は、2013年参院選以来、東京では確実に得票を伸ばしています。元在特会会長の桜井誠氏は前回よりも6万票以上増やす大健闘でした。
2020年知事選 2016年知事選 2014年知事選
小池百合子 3,661,371 小池百合子 2,912,628 舛添要一 2,112,979
宇都宮健児 844,151 増田寛也 1,793,453 宇都宮健児 982,594
山本太郎 657,277 鳥越俊太郎 1,346,103 細川護熙 956,063
小野泰輔 612,530 上杉隆 179,631 田母神俊雄 610,865
桜井誠 178,784 桜井誠 114,171
立花孝志 43,912 立花孝志 27,241
 参院選東京選挙区での各党候補者の得票は次のとおりです。
 自公陣営は、与党に復帰後は、230〜250万票を着実に獲得しています。一方、維新以外の野党勢力は、全体では220〜230万票をを得て対抗はしています。しかし、維新は選挙毎に票を伸ばしていますから、改憲勢力は3分の2には届かないまでも優勢です。
 赤字で示したのは女性候補ですが、100万票以上を獲得しているのは、すべて女性候補であるというのは興味深いところです。
参院選東京選挙区
2019年 2016年 2013年 2010年 2007年
自民
計1,670,033
1,143,458
○525,302
計1,529,622
○884,823
○644,799
計1,677,048
1,064,660
○612,388
計1,010,514
○711,171
299,343
計1,342,851
691,367
●651,484
公明
○815,445 770,535 ○797,811 806,862 ○794,936
共産
706,532 ○665,835 703,901 ●552,187 554,104
立民 民進 民主
計1,184,581
688,234
●496,347
計1,631,276
1,123,145
●508,131
552,714
●552,714
計2,407,406
1,710,734
○696,672
計1,868,405
1,087,743
○780,662
維新
○526,575 ●469,314 ●413,637
れ新 山本太郎 川田龍平
●214,438 ○666,684 ○683,629
国民 みんな
●186,667 ●320,287 ○656,029
N国
●129,628
 小池知事は、政治的立場は保守陣営に位置しています。しかし、地方首長選挙は国政選挙とは異なるので、小池氏の獲得した366万票のべてが保守陣営への支持とは言えないと思われます。現に、2016年の知事選では、野党共闘は惨敗しましたが、参院選東京選挙区では、自民・公明の得票と民進・共産の得票は拮抗しています。もっとも、2016年の参院選東京選挙区では、蓮舫氏が112万票を獲得したので、それが民進の得票を押し上げたとも言えます。
 参院選東京選挙区は、2019年から議席6となったので、60万票取れなくても当選の可能性が出て来ました。しかし、今回の知事選で、山本太郎氏と維新推薦候補が60万票を獲得しました。次回の参院選東京選挙区で、両者が60万票を維持すれば、当選ラインが60万票を上回る可能性も出てきます。となると、自民と立民はともに、2人目の候補を当選させるのは難しくなりそうです。
 出口調査によると、各政党支持者の投票動向は次のようになっています(無党派層の5割が小池氏に、女性支持高く 朝日出口調査)。
 2019年参院選東京選挙区の各党候補の得票は無党派層の票も含まれているため、このデータとは単純には比較できませんが、ある程度の参考にはなると思われます。 
自公 立憲 共産 維新 れいわ 無党派
小池百合子 80% 29% 17% 54%
宇都宮健児 49% 67% 15%
山本太郎 95% 12%
小野泰輔 54% 10%
 無党派層と言っても結局どこかの政党の候補に投票するわけですが、組織票の多い公明と共産は無党派層の票を取り込むのは難しそうですから、それ以外の政党が無党派票を取り合うことになると思われます。
 今回の選挙では、小池氏は現職の女性候補であるという強みがあるため、無党派票の過半数を取り込めたものと思われます。
 小野氏が維新票の半分程度しか固められなかったのに、票を伸ばせたのは、ある程度の自民票を取り込めたからではないでしょうか。
 一方、山本氏は、れいわ支持者の95%を固めたとは言え、れいわの組織票は知れていますから、ある程度の立憲票を取り込んだものと思われます。