録画・録音ファイル / サイエンスZERO
 サハラ砂漠に 太陽光発電基地をつくれ!
 2011年5月7日放送 ⇒番組ホームページ

●なぜサハラ砂漠で太陽光発電なのか


構想は22年前からあった 


超電導が進歩し現実味 


なぜサハラ砂漠かというと
東京大学大学院 客員教授
鯉沼秀臣さん
@広大な土地
A日照時間が長い
B砂漠の砂は、シリコン原材料の二酸化ケイ素でできている 
 太陽光発電には、さほど広大な土地までは必要ないでしょうし、二酸化ケイ素は珪砂や珪石として日本国内でも豊富に産出します。ということは、サハラ砂漠の一番の利点は、「A日照時間が長い」ということでしょうか。

●シリコンはどうやって作る?


 ケイ石(ほとんどが二酸化ケイ素SiO2)から酸素を抜き取って金属シリコン(Si)とする



 塩化水素や水素ガスを使って純度を極限まで高める。現在のところ、砂からシリコンを作り出す技術はまだ開発されていない。ただし、太陽光パネルで使う場合は、LSIで使う場合ほどの純度は要求されないので、純度を落としたシリコンなら砂からでも作れるのではないかと模索中だという
(ただし、その道のりは容易ではないようだ)
 シリコンというと、ソフトコンタクトレンズや豊胸手術を連想しがちですが、そちらの方は

silicone=「ケイ素(Si)の重合体(ポリマー)」つまりシリコン樹脂のことで、「シリコーン」と表記されることもあります。
 一方、ここでいう「シリコン」は、

silicon=「ケイ素(Si)」つまり半導体の材料となる金属のことです。ただし、日本人が英語の音声を聞いた場合、「silicone」は「スリコーン」、「silicon」は「スリケン」と聞こえるように思えます。表音文字であるアルファベットの表記からは、かなりずれてますね。
 それはさておき、二酸化ケイ素(SiO2)から酸素を引っ剥がしてケイ素(Si)にするのがとても大変で、それを半導体として使うのだから、純度を上げなければならず、極めて複雑な工程が要求されるようです。

●どうやって発電するのか


 リンとシリコンを混ぜると、光が当たったとき電子が余る現象が生じる。つまり、マイナス極となる。一方、ホウ素とシリコンを混ぜると、光が当たったとき電子が足りない現象が生じる。つまり、プラス極となる。その結果、電気が発生する
 番組では詳細に説明されていますが、ここで論証したいこととはあまり関係がないので、思いっきり端折りました。

●超電導送電は可能か


鯉沼秀臣さん
 サハラ砂漠から日本まで1万キロ以上も離れている。ほとんど送電は不可能に思える。
 しかし、直流の方が交流よりも送電のロスが小さい。
 さらに、それを小さくするため超電導を使う。


電気システム工学科教授 山口作太郎さん
 愛知県春日井市の中部大学に世界初の直流超電導送電の実験設備がある。
 全長200メートルの管の中に約マイナス200度に冷やされた超電導ケーブルが入っている。
  


 20年ほど前に日本で開発されたビスマスの酸化物は、マイナス163度で超電導になる。これを6センチの管で覆い、中に液体窒素を流す。さらに、それを20センチの管で覆い、間を真空とする。 


 実験では、超電導送電は可能となったわけですが、4万キロを超える送電菅の設置費はどれくらいとなるのか、それを誰が負担するのでしょうか。また、日本国内でも太陽光発電が可能なのに、遥か4万キロを超えて、サハラ砂漠から電気を送ってもらう意味があるのかという気もします。しかし、この技術は日本国内での各電力会社間での送電にも利用できるなど、開発を進めるのに十分の意義はあるでしょう。ところで、直流は送電に向かないと、学校で習ったような気がしますが、間違っていたんでしょうか。

●電気エネルギーネットワークは夢物語?
 

山口作太郎さん
 山口さんは、直流超電導を使って、サハラ砂漠から日本に送電するだけでなく、世界中に電気を送ることを考えている。
 例えば、日本が夜のとき、昼間の国から太陽光発電の電気を送ってもらい、日本が昼間のときは、逆に日本から送電することもできる。 


 番組コメンテーター 竹内薫さん
 火力発電を減らすためには、原子力を増やす他ないと思っていましたが、省エネ技術を含めて太陽光発電技術を世界に輸出するなどの方法もあるのかな、と考えが変わってきました。
 太陽光発電と火力発電などを併用するのであれば、昼間は太陽光発電、夜は火力発電で相互に補完することにより、日本国内だけでエネルギー供給は完結することになります。したがって、直流超電導送電により、世界的なエネルギーネットワークを構築する必要は乏しいようにも思えます。
 ただ、将来シリコンの製造コストが大幅にダウンすれば、世界各地の砂漠や原野に太陽光発電所を造り、直流超電導送電ネットワークにより、世界的規模で太陽光エネルギーを効率的に活用することも夢ではなくなるかもしれません。