Windows10の起動を速めるための仕組みとしては、「Fastboot」と「高速スタートアップ」があります。両者の関係は次のようになっています。これらの機能はトラブルの原因となる可能性があるので注意が必要です。
●BIOSセットアップ画面に入れない Fastbootとは、次のようなものだそうです(UEFI の Fast Boot とはどんな機能なのか?無効化するのはどういう状況か? - ぼくんちのTV 別館)。
その効果については、次のようなデータがあります(Fast Boot(高速起動)の効果 [Win8] - Diary on wind)。
その場合は、Windows 10 からBIOS(UEFI)設定画面を起動する方法がありますが(BIOS(バイオス)とは?基本的な知識やBIOS設定画面の起動方法や操作方法などをご紹介|ドスパラ通販【公式】)、ものすごーく面倒ですし、そもそも Windows が起動しなくなったら、お手上げです。 したがって、Deleteキーを押してもBIOSセットアップ画面に入れないようになっていたら、速やかに、Windows 10 からBIOS設定画面を起動し、Fastbootを無効にしておくのが賢明だと思われます。 ●ブートディスクが認識されない 高速スタートアップとは、シャットダウン時に「hiberfil.sys」というファイルにパソコンの状態を保存しておき、次回パソコンの電源を入れた際に「hiberfil.sys」のファイルを読み込むことにより、Windowsの起動時間を短縮する機能です(高速スタートアップとは?メリットとデメリットなど | パソコンの問題を改善 )。いわば、シャットダウンに代えて、休止状態を使うようなものです。 64ビット版のWindows 7 で起動にかかる時間は、34.70秒です。一方、32ビット版では、22.23秒です。 64ビット版のWindows 7 では、休止状態からは27.26秒で復帰できます。一方、32ビット版では、14.39秒です。 つまり、休止状態から復帰すれば、8秒近く短縮できることになります。高速スタートアップでも同様の効果が得られるものと思われます。 64ビットのWindows 11 で起動にかかる時間は、 28.77秒です。高速スタートアップなら20秒ぐらいに短縮できることになりますが、確認はできません。 というのは、Windows 11 をインストールし、シャットダウンから起動しようとすると、その都度、次のようなブルースクリーンになってしまうというトラブルが発生したからです。 エラーコード「0xc0000001」というのは、とんでもない重大な障害が発生しているような印象を受けます(六つの対処法|Windows 10を起動するとエラーコード 0xc0000001が表示されます [MiniTool])。 しかし、「ブート構成データが見つからないか、壊れている」ということですから、単にブートディスクが認識されないだけかもしれません。 BIOSでSSD/HDDの接続を確認してみると、SATA3_1のシステム用SSDが認識されていません。そこで、「Ctrl+Alt+Del」で再起動してみましたが、状況は変わりません。それで、SATAケーブルを交換してみると認識されるようになりましたが、シャットダウンから起動しようとすると、再びブルースクリーンになってしまいました。 そこで、ようやく高速スタートアップが原因ではないかと思い至りました。高速スタートアップの設定状態を確認するのは少しわかりにくいです。まず、電源オプションで「電源ボタンの動作を選択する」をクリックします。 すると、「電源ボタンの定義とパスワード保護の有効化」の画面が表示されるので、「現在利用可能でない設定を変更します」をクリックします。 次に、「高速スタートアップを有効にする」のチェックをはずすと、無効になります。ここで、「休止状態」にチェックを入れると、電源メニューに休止状態が表示されるようになります。 電源メニューに休止状態を表示させ、手動で休止状態にして復帰させると、件(くだん)のブルースクリーンが現れました。これで、トラブルの原因は、「hiberfil.sys」にあることが確認できました。 Windows 11 のインストールに、ADATAのSSD(SU650、120GB)を使いましたが、このSSDは休止状態でエラーが生じるようです。 「hiberfil.sys」には、このSSDのデータが保存されないため、休止状態から復帰するとき、ブートディスクが認識されなくなるようです。 高速スタートアップが有効になっていると、シャットダウンで休止状態になるため、次にPCを起動しようとしたら、常にブルースクリーンが現れ、とんでもない重大な障害が発生しているのではないかと驚かされてしまいます。 SATAケーブルを交換すると、一時的に状況が改善したのは、PCの電源を切ったため、休止状態が抹消されたためだと思われます。 Windowsを使い続けていると、バックグラウンドで各種プログラムが実行されるようになります。そこで、1日の作業を終えるときはシャットダウンして、クリーンな状態に戻したいのですが、高速スタートアップが有効になっていると、休止状態になるため、クリーンな状態に戻せません。高速スタートアップというのは、実に邪魔でお節介な機能だと思います。 なお、休止状態に問題がある場合は、ハイブリッドスリープも無効にしておく必要があります。 ●ノートPCでは高速スタートアップが威力 ノートパソコン GLM-14-240の高速起動がどうなっているのか確認してみました。 まず、Fastbootは無効になっています。 次に、Securebootも無効になっています。 一方、高速スタートアップは有効になっています。 シャットダウンして起動するのに、26.15秒かかりました。 高速スタートアップを無効にしてみると、シャットダウンして起動するのに、54.45秒かかりました。ノートPCでは高速スタートアップが威力を発揮しているようです。 なお、休止状態からは18.99秒で復帰できました。 ADATAのSSD(SU650、120GB)に、Windows 10 をインストールして、休止状態から復帰するとどうなるか確認してみました。すると、正常に復帰しますし、高速スタートアップも使えます。SSDではなく、Windows 11 に問題があったようです。 Windows 10 の起動時間は、通常起動が26.64秒、高速スタートが21.19秒、休止状態からの復帰が20.18秒でした。 Windows のバージョンごとの起動時間をまとめると次のようになります。32ビット版のWindows 7 は、高速スタートがなくても、十分速いです。いずれも、Fastbootは無効にしています。
Fastbootには、BIOS画面に入れないという問題がありますし、高速スタートアップは、シャットダウンを休止状態に置き換えたのに過ぎません。高速起動にどれほどの意味があるのでしょうか。 |