パソコン / Windows 10
 legacy+MBR、32bit の Windows 7 で十分なのに   
2019/3/23
 legacy-BIOSやMBR形式、32bit版OSは軽くて使い勝手が良いのに、Windows 7 とともに姿を消して行くことになりそうです。今後は、Linux も使えなくなるかもしれません。 
 
legacy+MBRはオールマイティ  
 所有PCのOS、BIOS、パーティション形式は、次のようになっています。「8向け」というのは、Windows 8 を対象としたパソコン(実際の製品は、Windows 10 にアップグレードされていました)、あるいはWindows 8 を対象としたマザーボードを組み込んだ自作機という意味です。legacy-BIOSとUEFI、MBRとGPTの区別については、後述します。 
  OS サイズ 起動 メモリー CPU BIOS
1号機(8向け) 7-32bit 14.0gb 17.3s 4gb AMD レガシー MBR
8-32bit
10-32bit
2号機(8向け) 7-32bit   8gb AMD レガシー MBR
7-64bit 21.6gb 28.2s
8-32bit
8-64bit
10-32bit
10-64bit
Cube I10(8向け) 10-32bit 10.4gb 36.7s 2gb Intel UEFI GPT
JumperEzpad6Pro 10-64bit 20.4gb 42.4s 6gb Intel UEFI GPT
 1号機と2号機には、10 や 8 をインストールしたこともありますが、今は 32bitと64bitの 7 を入れてます。
 以上から言えることは、legacy-BIOSとMBRを組み合わせることができれば、32bitと64bitの 7、 8、10 をすべてインストールできるということです。「legacy-BIOS+MBRはオールマイティ」と言えるかもしれません。
 起動時間は、Windows 7 の自作機の方が、Windows 10 のタブレットPCよりも速いです。Windows のサイズは、32bit版の方がかなり小さく、Windows 10 の方がWindows 7 よりも若干小さいです。特にCube I10 の32bit版Windows 10 とてもコンパクトです。 

64 ビット用のクラス 3 UEFI ばかり
 Jumper Ezpad 6 Pro で、alphaEDIT が起動できなくなりました。音が出ないのは「ドライバ署名の強制を無効にする」ことで対応可能ですが(音声デバイスが認識されない場合の対処法 )、今回はお手上げです(その後、Windows をインストールし直したら、alphaEDIT は起動できるようになりました)。
 32ビット版のWindows 10 が搭載されたCube I10 では、タッチパネルは正常に機能しているし(タッチパネルは使えなくても良いと割り切る)、alphaEDIT も正常に作動しています。音も出ています。
 そこで、Jumper Ezpad 6 Pro にも、32ビット版のWindows 10 をインストールしようとしましたが、どうしてもうまく行きません。 
 Jumper Ezpad 6 Pro には、UEFI という新BIOS が採用されていることが原因のようです(旧BIOSを進化させたUEFI、その基本を解説(前編:役割と概要))。マイクロソフトによると、「64 ビット UEFI PC は、64 ビット バージョンの Windows だけを起動できます。32 ビット PC は、32 ビット バージョンの Windows だけを起動できます」ということです(UEFI ファームウェア)。Jumper Ezpad 6 Pro は、64 ビット UEFI PC で、Cube I10は、32 ビット UEFI PCのようです。
 そこで次に、64 ビット版のWindows 7 をインストールしようとしましたが、これもうまく行きません。Windows 7 は、「クラス 3 システム上ではサポートされていません」(UEFI ファームウェア)ということです。Jumper Ezpad 6 Pro は、クラス 3 UEFI PC のようです。
 調べてみると、市販されているマザーボードは、64 ビット用のクラス 3 UEFI のものばかりです。

CSMモードUEFIは過渡的なUEFI 
 
BIOSは、「PCの電源投入後、真っ先に起動されるプログラムで」、まず「周辺機器の検出・初期化・設定を行」い、次いで「OSローダ(OSを検出し起動するプログラム)をロードし」「OSローダがOS本体をロードし」PCが起動します(旧BIOSを進化させたUEFI、その基本を解説)。PCを立ち上げるというのは、この作業のことです。
 BIOSは、マザーボード上のフラッシュメモリに書き込まれています 
 UEFI は新しいタイプのBIOSで、Windows 10 ではUEFIファームウェアと呼ばれています。Windows 10 では、「設定>更新とセキュリティ>回復>今すぐ再起動>トラブルシューティング>詳細のオプション>UEFIファームウェアの設定>再起動」の手順で、UEFI-BIOS画面を呼び出せます(Windows 10でUEFI (BIOS) 画面を起動する手順)。なお、従来からのBIOSは、UEFI-BIOSと区別するためレガシーBIOSとも呼ばれます。
 UEFI には3段階のクラスがあります。概要をまとめると次のようになります。( レガシー BIOS が 2020 年で消えたあとの世界UEFI参照。BIOSはレガシーBIOSの意味で使っています)。 
  ハードウェア ソフトウェア 
Class 1 新しいインターフェース BIOS
Class 2 新しいインターフェース BIOS、CSMモードUEFI、UEFI
Class 3 新しいインターフェース UEFIのみ
 ハードウェアの管理は、すべてのクラスで新しいインターフェースが採用されていますが、ソフトウェアの管理は、レガシーBIOSからUEFIに順次入れ替わっています。
 Windows 7 は、完全にはUEFIには対応していないので、一部レガシーBIOSを使います。これがCSMモードUEFIといわれるもので、過渡的なUEFIといえます。したがって、クラス 3 UEFI では(レガシーBIOSは存在しないので)、どんなに頑張っても、Windows 7 は、インストールできないことになります。
 GA-AM1M-S2H(AM1マザーボード)のBIOSを確認すると、「ブートオプションフィルタ」では、「UEFIデバイスとレガシーデバイス」「レガシーデバイスのみ」「UEFIデバイスのみ」を選べますから、クラス 2 UEFI だと思われます。
 一方、Jumper Ezpad 6 Pro のBIOSには、そのような項目は見当たりませんから、クラス 3 UEFI のようです。

システムディスクとして使うメリットはない
 HDDやSSDは、1つまたはそれ以上のパーティション(区画領域)を作らなければ、使うことができません。パーティションの作成方法には、MBR(マスターブートレコード)形式とGPT(guidパーティションテーブル)形式があります。それぞれの内容は次の表のようになっています(MBR と GPTの違い、相互変換及び初期化方法‐どっちがよい参照)。なお、これらのパーティション形式は、NTFSやFAT32などのフォーマット形式とは異なるものです(Windowsディスクのパーティションとは? 〜その作成/変更前に押さえておくべき基礎知識〜)。
MBR GPT
2TB未満 2TB以上も可(最大8.5ZB) 
パーティションは4個まで  パーティションは128個まで
レガシーBIOS  UEFI
 MBR形式では、レガシーBIOSしか使えませんし、GPT形式ではUEFIしか使えません。Windows 7 以前のPCはレガシーBIOSを使っていたので、システムディスクはMBR形式で初期化していました。そのようなPCを、Windows 10 にアップグレードしても、パーティションの形式はそのままです。つまり、MBR形式+レガシーBIOSのWindows 10 PCも多く存在すると思われますが、そのことによって特に支障は生じていないようです。
 GPT形式では2TB以上のハードディスク容量が使用できますし、パーティションは128個まで作れます。しかし、システムディスクとして使うなら、30〜40GB程度の容量で十分です。バックアップのことを考えるなら、それ以上は邪魔になります。パーティションはシステム用とデータ用の2個あれば十分です。
 つまり、一般ユーザーにとっては、システムディスクとして使うなら、GPT形式にするメリットはないということになります。起動時間を計ってみたところ、冒頭の表に示したように、レガシーBIOS+MBRの1号機、2号機の方が、UEFI+GPTのタブレットPCより速いという結果になりました。マイクロソフトは、「Windows 10 の高速スタートアップで、起動は 2 倍も高速」としていますが、マイクロソフト自身が認めているように同じ条件で比較したデータではありません(Windows 7 vs Windows 10 五番勝負 )。 
 確かに、2TB以上のハードディスクは容量を有効に使うため、GPT形式で初期化する必要があります(2TB以上のハードディスクを初めてPCに接続したとき、GPT形式で初期化するよう指示されるはずです)。しかし、システムディスクがMBR形式であっても、データディスクをGPT形式として使うことには何ら支障はありません。

マイクロソフトが認めたOSだけ使わせてやる?
 Jumper Ezpad 6 Pro のBIOSには、セキュアブートという項目があります。これは、UEFIが売り物にしている機能です。

 マイクロソフトによると、セキュアブートとは「PC の製造元から信頼されるソフトウェアのみを使って PC が起動されるようにするもの」
だそうです(セキュア ブート)。より具体的に言えば「起動時にデジタル署名のあるソフトウェア ( OS など ) 以外を起動できなくする為の技術」です(Windows 7 と Windows 8 / 8.1 のUEFI ( BIOS ) 設定について)。 
 つまり、セキュアブートとは「ユーザーは思いつきで他のOSを起動できなく」(MSのセキュアブートバイパス問題--セキュリティ研究者らが経緯を明らかに)するための機能なのです。
 一方、Linuxユーザーにも配慮して(マイクロソフトが認めたOSだけ使わせてやる、などという話は許されません)「セキュアブートをオフにするオプションも搭載するように定められていました。しかし、Windows 10ではセキュアブートをオフにするオプションを搭載するかどうかはメーカーが選べることになり、Windows 10以外をインストールできなくなる恐れ」があるとの指摘もあります( Windows 10搭載PCにはLinuxなどをインストールできなくなる可能性あり)。
 Macでは、この機能をオフにしたにもかかわらず、Linuxを起動できなかったという報告もあるそうです( Apple T2 Securityチップ搭載のMac、Linuxは起動できないか)。 

WinPE で EaseUS Todo Backup を起動   
 Jumper Ezpad 6 Pro で、EaseUS Todo Backup を使って、バックアップイメージからシステムディスクを復元しようとすると、「LinuxブータブルディスクはGPT、ダイナミックディスクに対応していません。WinPEブータブルディスクを使用してください」と表示されます。EaseUS Todo Backup は、Linux を使ってバックアップイメージをシステムドライブに上書きしていますが、GPT形式では、Linux が起動できないようです。なお、「Linux を UEFI 環境にインストールするというのは結構めんどくさい」(UEFI+GPT 環境での Arch Linux インストーレーション)ということですから、GPTディスクでLinux を使うことが全くできない訳ではなさそうです。

 そこで、WinPEのブータブルディスクを作ることにしました。
 作成画面で、ブータブルディスクの種類はWinPEを選び、ブータブルディスクを作成しました。BIOSでブート順位1位とし、ブータブルディスクからWinPEを使ってEaseUS Todo Backup を起動させ、システムディスクを復元することができました。 
 なお、WinPEとは「Windows オペレーティング システムのインストール、展開、修復に使われる軽量なオペレーティング システム」のことで(Windows PE (WinPE) - Windows 10 hardware dev)、マイクロソフトのサイトからダウンロードできます。